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クローズup PDホスピタル

2012年スマイル夏号
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。

奈良県

公益財団法人 天理よろづ相談所病院

患者さん一人ひとりに配慮し、スタッフ全員の力で"PDをあきらめない"

公益財団法人天理よろづ相談所病院は、母体である天理教が理想とする「陽気ぐらし」を病気にかかった人も送れるようにという考え方のもと、「からだ」「こころ」「くらし」に目を向けた全人的包括医療に取り組んでいます。腎透析科では、2010年より、関西における腎不全治療の拠点化を目指して診療体制を充実させてきました。

「PDファースト」を推進

「PDファースト」に意欲を燃やす、金子嘉志腎透析科部長と奥村紀子副部長 「PDファースト」に意欲を燃やす、金子嘉志腎透析科部長と奥村紀子副部長

奈良県で唯一のバスキュラーアクセスセンターとして年間900件にも及ぶ症例を受け入れるなど、腎不全治療に注力している天理よろづ相談所病院。PD治療においては、「現代医学の見地からもPDファーストのような考え方が世界的に認知されてきています。生命予後改善のエビデンスも徐々に出つつあり、PDファーストが患者さんのためになるという観点から、推進すべきと考えています」と、腎透析科部長の金子嘉志先生。2010年の本格的取り組み開始以来、PD患者さんの数も年ごとに増え、今では50人近くになりました。

腎透析科は、医師2人。看護師は29人で、PDの専任は配置せず、病棟・外来・血液浄化センターが緊密な連携を取り、全員がPD患者さんを看られる体制を作り上げています。この体制を構築するためには、看護スタッフの教育が重要だったそうです。「勉強会を何度も開催し、外部からも講師を招いて知識や技術の向上に努めたほか、患者さんのためのトラブル対応マニュアルなども作りました」と、病棟看護師長の吉田和実さんは説明します。病棟看護師の近藤ひろみさんは、「病棟では、クリティカルパスも作成し、患者さんのPD導入に質や時間のバラつきがないようにしました」と話します。現在は、月に1度、病棟・外来・血液浄化センターのスタッフによる合同ミーティングを開き、患者さんの情報共有をしています。「PD治療にはチームでの連携が不可欠。ミーティングで患者さんの退院後の様子を、導入期を担当する病棟スタッフが知ることができ、スタッフのモチベーションの向上にもつながっています」(金子先生)。

患者さんのPDライフを強力にサポートする病棟スタッフ。左から、斉藤夕紀看護師、吉田和実看護師長、近藤ひろみ看護師 患者さんのPDライフを強力にサポートする病棟スタッフ。左から、斉藤夕紀看護師、吉田和実看護師長、近藤ひろみ看護師
外来スタッフ。前列左から上田康代看護師、的場陽子看護師、後列左から後藤ちひろ看護師、山崎久美子看護師、佐々木美栄子看護師 外来スタッフ。前列左から上田康代看護師、的場陽子看護師、後列左から後藤ちひろ看護師、山崎久美子看護師、佐々木美栄子看護師

患者さん一人ひとりにオーダーメイドの対応

個々の患者さんの状況を的確に把握することで、患者さんに合ったオーダーメイドの治療を行っているのも同院の特長です。「患者さんの状態に合わせて血液透析(HD)との併用を行ったり、合併症に対しては早期の対応を心がけています。また、患者さんへの説明の際、最初からPDのよいところばかりを言うのではなく、『小さなトラブルは想定内』ということまで伝えていることも、少しくらいのトラブルで『PDをやめる』という患者さんがおられないことにつながっていると思います。PDの継続率が高い水準を維持できていますが、これは、スタッフ一体となった病院全体のスキルの高さであると自負しています」と副部長の奥村紀子先生。

患者さんのセルフケアのサポートもオーダーメイドです。病棟看護師の斉藤夕紀さんは、「退院後を想定して、入院時から家族関係や家庭の設備環境などについて細かく情報を収集します。あくまでも患者さんの視点で、生活に不便がないかどうかを第一に考え、自宅での治療がしやすいように考えています」と看護師ならではの目配り・心配りを話します。

さらに、年2回程度、PD患者さんの交流会を実施しています。「きっかけは外来の待合室でした。患者さん同士が会話されているのを見て、正しい知識や情報を得ていただけるように病院側で場を用意しなければと感じたのです」と金子先生。交流会では、医師・看護師からの話のほか、患者さん同士がお互いの悩みや成功体験を活発に披露し合います。患者さんたちの表情は、非常にイキイキ。「カテーテルの収納袋はどうしているのか」など、ちょっとした工夫や豆知識を得ることで、さらにQOLが向上しているそうです。

患者さんと二人三脚で

「PDファーストが生命予後を改善する、それを信じてやっています。"PDを簡単にあきらめない"という姿勢が大事です。手間がかかる部分があれば、そこは我々医療者側の工夫や努力で補えばよいのです」と金子先生。また、奥村先生は、「PDは高齢化社会にも合っていると思います。例えば人生のエンディングを迎えるにあたって、HDでは自宅での治療はまだ困難ですが、PDであればそれも可能です。ですから私は地域行政にもご協力をいただいて、高齢者もサポートしていけるような"PDラスト"というような考え方も、今後は大切になると感じています」とこれからのPDの可能性についても言及します。

最後に金子先生は、「患者さんと二人三脚で医療の質を上げ、皆様に満足いただけるPDの拠点施設となるようにがんばっていきたいです」と、力強く語ってくださいました。

病院データ

公益財団法人 天理よろづ相談所病院

公益財団法人 天理よろづ相談所病院

  • 〒632-8552
  • 奈良県天理市三島町200番地
  • 電話 0743-63-5611
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