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巻頭特集

2013年スマイル秋号
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。

安全・安心で、楽しい旅行を!

腹膜透析(PD)患者さんにとって、「旅行」は大きなメリット。旅行でのリフレッシュは、治療生活にも好影響を及ぼすと思われますが、楽しく有意義なものにするためには、"安全"に"安心"して、という大前提があります。旅行についての読者アンケートでは、下記のグラフのように旅行への関心の高さがうかがえると同時に、様々な不安が寄せられました。安全に、そして安心して旅行を楽しむには、どのような準備や心構えが必要なのでしょうか。大阪府立急性期・総合医療センターの先生と看護師の方々にアドバイスをいただきました。

左から、川内さん、林先生、岩井さん

左から、川内さん、林先生、岩井さん

地方独立行政法人大阪府立病院機構
大阪府立急性期・総合医療センター

林 晃正 先生
腎臓・高血圧内科 主任部長
岩井 典子さん
副看護師長
川内 智淑さん
副看護師長

「旅行」についての読者アンケート(2012秋号)

<有効回答数 119>
  • 患者さんの旅行への関心は高い
  • 回答者の6割は旅行経験者
  • PD導入後の「旅行経験なし」の方のうち、8割以上の方が今後行ってみたいと回答
「旅行」についての読者アンケート(2012秋号)

旅先の体調管理は、日頃の体調管理から

まず、体調管理について
  • 場所が変わるので体調管理が心配です(61歳女性)
  • 体調が悪くなった時にどうすればよいですか(67歳男性・65歳女性)
林先生
PDは基本的に体調の変動が少ない療法です。患者さんが日頃自己管理をきちんとされておられれば、旅行中特に体調の変動が起きることは考えにくいと思います。旅行前の患者さんには「水分・塩分の摂り過ぎには気をつけましょう」など、最低限の注意を申し上げますが、普段から良好な体調管理ができている方であれば、仮に数日間バッグ交換の回数を「旅行用に調整」したとしても、体調を崩されるようなことはほとんどありません。長期間の旅行は別として、1~2泊程度の旅行でしたら、私は患者さんの状態と旅行プランに合わせ、たとえば、朝と夜、宿で落ち着いてバッグ交換を実施し、日中は長時間貯留の透析液を入れておくなど、極力シンプルな処方に変更します。「十分に楽しんできてほしい」と思うからと同時に、これでも数日間体調を良好に保つのに問題はないと思っているからです。皆さんも旅行中の処方については、主治医の先生に相談してみてください。また、万が一、旅先で体調が悪くなった場合、具体的にどこに連絡すればよいか、事前に主治医の先生に相談しておきましょう。
岩井さん
注意が必要な点としては、旅行先で出される食事が豪華になりがちだということです。塩分量はもちろん、食事量や宴会時の飲み物など、食べ過ぎ・飲み過ぎには気をつけてほしいと思います。
川内さん
食べ過ぎてしまったと思ったら、旅行から帰った後は食事量などを調節することを忘れないでください。

事前に清潔な場所の確保を

バッグを交換する場所と衛生管理について
  • 宿泊先に透析液を掛ける場所があるか心配(39歳女性・65歳女性)
  • 出先で交換場所を確保できるか不安です(35歳男性)
  • いつもと違う環境で清潔にできるかどうか心配です(67歳男性)
林先生
バッグ交換を行う場所の確保は大変重要です。何とかなるだろうと準備をせずに行ってしまうと、交換場所が見つからずに困ることがよくあります。ですから旅行の計画を立てる際には、適当な場所があるかどうかあらかじめ電話やインターネットなどでしっかりと下調べをして、交換場所を決めておいてください。そして、できる限りホテルの室内など落ち着いた環境で行うようにしてください。車の中で行う患者さんもいらっしゃるようですが、狭くて衛生的にも問題が多いですので、避けた方がよいでしょう。
岩井さん
バッグ交換時の清潔を保つためには、自宅同様にマスクの着用と手洗いに加えて、アルコール入りの手洗い用ジェルでの手指消毒をしっかり行うようにしてください。ジェルの使用で菌数を少なくできます。石けんによる十分な手洗いが、いつもと同じようにはできない場合も考えられますので、必ず使用しましょう。
川内さん
旅先では、手技がついついいい加減になることもあるようです。日頃行っている方法をきちんと守っていただきたいと思います。

時間の厳密さより、落ち着いてできる場所で

バッグ交換のタイミングについて
  • 予定の時間に交換できるか不安です(34歳男性・55歳男性・70歳男性)
  • 交換を行う旅館に時間通り到着できるか心配(67歳男性)
林先生
バッグ交換の時間が多少ずれてもほとんど支障はありません。たとえるなら、客として用意された車に乗ることがHDだとすれば、ドライバーとして自分で車を運転するのがPDで、時間をずらすなど、ある程度の融通を利かせられる点がPDのメリットなのです(もちろん安全運転のためには知識を備えておくことが重要です)。バッグ交換に関して言うと、観光の途中などに交換するのは、できるだけ避けてほしいと考えています。旅行のスケジュールに変更が生じたりするとあわててしまい、カテーテルを引っ張ったり、手技を間違ったりと、トラブルになりかねません。ですので、交換時間を厳密に守ろうとするより、主治医の先生と相談の上、処方を変更してもらったり、交換時間を調整できる範囲を確認しておくなどして、安全にバッグ交換することを第一に考えていただきたいと思います。

チェックリストを活用しましょう

持参する透析機材の準備について
  • 忘れ物がないか直前まで気がかりだった(32歳男性)
  • 機材などの準備品が揃っているか心配(11歳男児 保護者)
林先生
もし病院でチェックリストのようなツールが用意されているなら、それを活用するとよいと思います。ご自分なりのチェックリストを作ってもよいでしょう。
岩井さん
その他、旅行の際にあると便利なものは、S字フック、バネバカリなど。そしてキャップは少し多めに。万が一のことを考えて、交換バッグの予備1セットも持って行くと、安心して旅行を楽しめると思います。
川内さん
自作のチェックリストの場合は、看護師に見せてくださいね。

旅行に出かける患者さんへのメッセージ

PD患者さんへのメッセージをお願いします
林先生
PDは日常生活の延長にある治療で、決して特別なことではありません。ですから、旅行プランにPDを合わせると考えてもよいと思います。そうは言っても、現地であわてないように、事前の下調べをしっかりと行うほか、除水が少ない場合には飲水制限を行うなどの、トラブル発生時の対処についても理解しておくことは大前提です。また、短期の旅行なら、それに合った治療メニュー(処方)を主治医の先生に考えてもらえば、心配なく旅行を楽しむことができると思います。とにかく、無理はしないようにしてください。
岩井さん
おいしく、楽しく、旅行でリラックスしてもらえればと思います。
川内さん
旅行の前後には多少の努力が必要ですが、計画的に行えば大丈夫。存分に楽しんできてください。

大阪府立急性期・総合医療センター 腎臓・高血圧内科の腎不全医療への取り組み

腎臓専門医の第一の使命は、透析を防ぐことと位置づける同科では、現在、月1回のペースで「慢性腎臓病対策外来」を実施し、少人数の患者さんに対し、腎臓病に対する知識・理論を伝え、実践方法を提供する場を設けている。それは、たとえ血清クレアチニン値が同じ値であっても、慢性腎臓病の病態は患者さんごとに異なり、患者さんが正しい治療を受けるためには、医療者側が正しい情報を患者さんに伝えなければならない、という考えから。

患者さんが医療者とコミュニケーションをとりながらそれを実践し、医療者がその結果を患者さんにフィードバックを繰り返すことで、患者さんのやる気を促し、生活改善を実現し、寛解することを目指す。「手術したら治る、という病気と違い、慢性疾患の場合は患者さ んが生活を改善し、持続できるまで一緒に歩んでいく。これを実行していかないと寛解には至りません。時間はかかりますが、若い医師の教育を含めて取り組んでいきたいと思います」(林主任部長)

病院データ

地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立急性期・総合医療センター

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