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  4. 「検査」について考えてみましょう!

巻頭特集

2013年スマイル夏号
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。

「検査」について
考えてみましょう!

いつも受診時に皆さんが受けている様々な検査。今回は検査についておさらいし、その意義を再認識していただく機会になればと、この特集を企画しました。PDライフを快適に継続するために、なぜ検査が大切なのか、また検査結果とどのように向き合えばよいのか、福岡県北九州市の製鉄記念八幡病院の先生方にお話をうかがいました。

左から、柳田先生、大仲先生

左から、柳田先生、大仲先生

社会医療法人 製鉄記念八幡病院

柳田 太平 先生
腎臓内科 部長
大仲 正太郎 先生
腎臓内科 医師

検査は、医師と患者さん双方のチェックの機会

まず、検査にはどのような項目がありますか?
大仲先生
日常診療での検査には、血液検査、尿検査、胸部/腹部X線検査などがあり、尿毒素や水・電解質の補正が適切に行われているか、心胸比が適切であるか、カテーテルの位置に異常はないか等を評価・確認します。さらに、定期的に副甲状腺ホルモンの検査や腹膜機能のチェックも行います(表1 参照)。また、このような病院で行う検査のほか、体重、血圧など患者さんがご自宅で計測されるものも、大切な検査であると言えます。これも前回の通院からの2週間~1ヵ月の様子を医療者が把握するために、とても大切なデータです。

【表1】日常診療での検査
PD治療において検査が重要な理由を教えてください。
柳田先生
検査は、身体的に負担の少ない状態で治療ができているか、異常事態が起きていないかを確認し、合併症の予防に取り組み、良い状態でPDを続けてもらうために必要なものです。
大仲先生
患者さんの自宅での管理がうまくいっているかを確認するだけでなく、私たち医師が適切な透析処方をできているかを確認する機会でもあります。適切な処方ができていなければ、患者さんがいくら普段の生活でしっかり食事の管理をし、指示通りにバッグ交換をしてくれていても体調はよくなりません。検査は、よりよい治療状態を作るための、患者さん、医療者、双方のチェックが行えるものだということを、ぜひ知っていただければと思います。
PDを始めてからの期間によっても、検査のポイントは変わってきます。導入後1年ぐらいは、尿量の変化など残腎機能の低下について特に気をつけ、適正に透析ができているかを確認します。また、X線画像での心胸比や血圧、むくみの状態などから、適正体重を検討し、患者さんにどの程度の変動幅なら問題ないのかを伝えます。自宅に戻ると体重が増える方もいますが、水が溜まっていることによるものなのか、筋肉なのかを判断するX線画像の検査はこの時期とても重要です。患者さんにとってしばらくは自己管理に慣れるのが大変ですので、自己管理の仕方を理解してもらうことが大切な時期でもあります。その後、1年ほど経つと状態が安定してきますので、日常診療の検査で状態を確認しながら、食事管理がうまく継続できているか、カテーテルの位置に異常はないかなどを確認していきます。
柳田先生
また、PD治療の継続年数が長くなってくるにしたがって、定期的に行われる腹膜機能検査(PET)等もより重要となります。さらに、CTで腹膜の状態を確認するなど、被嚢性腹膜硬化症(EPS)を発症しないよう、PDからHDへの移行時期を適切に見極めるためにも、しっかりと定期的に検査を行う必要があるのです(表2参照)。

【表2】PDの継続期間に応じた検査のポイント

検査項目はすべて重要

PD患者さんにとって重要な検査項目は?またどのような点に注目されますか?
柳田先生
外来で検査を行う時は、透析効率が保たれているか、食事管理ができているか、水分(体液)量の管理ができているかという3 点に関して重点的に診るようにしています。透析量が適切かどうかはクレアチニン、BUNの値で、そして食事がきちんと管理されているかどうかはアルブミンやカリウム、リン、ヘモグロビンの値を見ます。また、胸部X線検査では水分(体液)量が適切かを見ます。こうした検査項目は基本的にすべて重要で、各データについては患者さんに細かく説明します。
大仲先生
透析効率が保たれているかどうかについては、排液と、畜尿した尿を検査するのが理想ですが、自宅では尿を溜めづらいのも現実です。そこで当院では、年に1回入院で行われるPET検査の機会を利用してチェックを行います。思ったより残腎機能が落ちていたり、栄養障害の原因が見つかったりと、毎月の検査でカバーできない部分が見つかることもあり、処方の修正等を図ることができます。
検査結果がよくない場合、どうすればよいのでしょう?
柳田先生
やはり基本は食事の見直しです。検査結果の変化から、生活環境や食事の変化が垣間見られる場合もあり、原因が見つかるまでお話します。その上で栄養指導をしますが、患者さんも食事の内容は、ご自分でも日々把握しておいていただきたいですね。
大仲先生
薬の使用や変更が必要な場合、患者さんに最初は納得していただけないこともあります。しかし、検査結果とともに「このままでは血管が詰まる恐れがありますよ」とか「カリウムが高過ぎると心臓に負担がかかります」と、その影響についての情報も伝えると理解してもらえます。いったん納得されれば以前よりも、自分で管理しようという意識も高まります。読者の皆さんも検査結果をよく見て、不明点は何でも主治医に相談してほしいと思います。

元気にPDを続けるために、検査を前向きに捉えて

最後に、検査について、患者さんにメッセージをお願いします。
大仲先生
PDを選択された患者さんに対し、我々は全力でサポートします。医師の立場から、こうすればうまくできるとか合併症を避けられるというアドバイスをさせていただきますが、その根拠となるのが検査結果です。検査を通じて情報のやり取りをしたり対策を考えたりしながら、患者さんと一緒に快適なPD生活を作っていきたいと考えています。
柳田先生
検査=テストのようなイメージを持って、まるで受験に来ている学生のような顔をしている方もおられます。検査を嫌だと感じる人は多いと思いますが、元気で合併症もなく、良好なPDを長期にわたって行うために検査は必要です。我々の処方が適切であるか、自宅での治療がうまくいっているかどうかを一緒に確認する場なので、ぜひ前向きな気持ちで検査を捉えていただきたいと思います。また、生活のためのPDではなく、PDのための生活を送ってしまっている患者さんが時々見受けられますが、これでは本末転倒です。せっかく自由な時間の多いPDを選択されたのですから、これからどんな人生を送りたいのか目標を探してほしいですね。

製鉄記念八幡病院 腎臓内科の取り組み

CKD(慢性腎臓病)対策

特定健診で異常が指摘された患者さんには早期にかかりつけ医を受診してもらい、一定の基準値を超えた患者さんは専門医へという、かかりつけ医と専門医とで一緒に診るシステムを地域で構築。糖尿病からの重症化予防にも力を入れている。

PDについて

透析が必要となった時、患者さんや家族の希望に沿って、PDを希望する方全員に提供するという考え方のもと診療に当たっている。高齢化率30%という地域において、訪問看護師やソーシャルワーカーなどと連携しながら、本人や家族の負担を軽減するための支援を行っている。

病院データ

社会医療法人 製鉄記念八幡病院

社会医療法人 製鉄記念八幡病院

  • 〒805-8508
  • 福岡県北九州市八幡東区春の町1丁目1番1号
  • 電話 093-672-3176(代表)
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