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巻頭特集

2014年スマイル春号
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。

「血圧」について
考えてみましょう!

腹膜透析(PD)患者さんにとって血圧を良好に管理することは、合併症予防のためにも重要と言われています。今回は、血圧に関する基本とともに、自己管理のポイントなどを解説していただきます。ぜひ快適なPDライフの参考になさってください!

左から、松岡先生、谷山先生、中野先生

左から、松岡先生、谷山先生、中野先生

近畿大学医学部附属病院

谷山 佳弘 先生
腎臓内科 准教授
松岡 稔明 先生
腎臓内科 講師
中野 志仁 先生
腎臓内科 助教
六条 律子さん
人工透析部 看護長
河村 明子さん
看護師
尾家 美弥子さん
看護師
上田 由美子さん
看護師
李 京子さん
看護師

患者さんにとって欠かせない血圧コントロール

腎不全の患者さんにとって、なぜ血圧コントロールが重要なのでしょうか?
谷山先生
腎臓と血圧は関係が深く、お互いがお互いを悪くするという関係にあります。腎臓が悪くなると尿が作れなくなり、体の水分量が多くなり血圧が上がります。
一方、血圧が高くなると、腎臓に負担をかけます。この悪循環を断ち切り、腎臓の機能を長持ちさせるために、血圧の管理は腎不全の基本的な治療の一つになります。また、腎臓が悪く、血圧の高い方は、脳卒中や心筋梗塞、心不全のリスクも高まります。腎機能の維持に加え、脳卒中や心臓病を予防するためにも血圧のコントロールが非常に重要になってきます。
PDは血圧にどのように影響しますか?
谷山先生
PDでは、残腎機能がなくなってくると徐々に血圧のコントロールは難しくなることがありますが、数時間で除水をする血液透析(HD)と違い、PDは1日かけてゆっくり行いますので、HDに比べて急激な血圧変化はありません。そういう意味では、PDは体にやさしいと言えますね。
高血圧には自覚症状があるのでしょうか?
中野先生
自覚症状がない場合が大半だと思います。自覚症状がない分、毎日の血圧測定、降圧薬の服用、食事療法(塩分の制限)が大切になります。
谷山先生
自覚症状が出た時は、脳卒中などの重篤な病気を発症している時になりますので、日頃からの自己管理が大切ということです。

血圧測定・体重測定・食事療法が自己管理のポイント

血圧測定で変化があったらすぐに報告をした方がいいでしょうか?
谷山先生
変動幅の程度によりますが、通常は来院時に報告していただければ結構です。一番困るのは血圧が高いから処方されている倍の量の薬を飲むとか、あるいは低いから減らすということです。自己判断で薬の量を変えてしまうと、逆に血圧の変動の幅を大きくしてしまいます。
目標とする血圧の数値はどのくらいでしょうか?
松岡先生
PD患者さんの目標血圧については、明確な基準がないのが現状です。まずは、収縮期血圧140mmHg、拡張期血圧90mmHg以下を目安にし、患者さん個人個人について至適血圧を検討しています。血圧が下がらない場合は、体液過剰であると考えていただいた方がいいかもしれません。
体液過剰を早く見つける方法はありますか?
中野先生
毎日、体重を測っておくことが大切です。
松岡先生
ご自分のベストの血圧と体重を知り、「この体重を超したらまずいな」という感覚を持っていただけるのがいいと思います。
谷山先生
むくみがないかも注意してください。むくみがあるのは水分量が多くなっているということですので。
血圧や体重の測り方で注意点を教えてください?
松岡先生
同じ時間帯(タイミング)に測ることです。何時何分という厳密なものではなく、例えば、朝薬を飲む前と夜寝る前などです。
谷山先生
透析液がお腹に溜まっている時と溜まっていない時とでは、体重は当然違いますので、タイミングは大切です。
松岡先生
また、血圧の場合、低い数値が出るまで頑張って何回も測る、などはやめていただきたいです(笑)。
河村さん
「血圧が高いから記録ノートを書かない」という方もいますが、適切な治療のために、ぜひ正直な値を書いていただきたいです。
谷山先生
血圧計にもいろいろなタイプがありますが、上腕で測るタイプが正確ですので、上腕で測るものを使ってください。
血圧管理において大切な塩分制限を守るポイントはありますか?
松岡先生
毎日きっちり制限することは大事ですが、なかなか難しいと思うので、羽目をはずしたら、どこかで控えるなど、2、3日くらいでトータルでやっていただけると、よいと思います。血圧と体重を見て、「これ以上はまずいから今日は少し控えておこうかな」など。こうした感覚を養う意味でも、毎日の血圧と体重の測定は大切です。
尾家さん
メインの料理は気をつけても、梅干しや塩昆布が食卓に載っていたり、習慣的に召し上がっているものに、塩分が高い食品があると意識されていない場合があります。
上田さん
塩分ではありませんが、サプリメント、健康食品なども注意が必要です。腎機能に悪い成分が入っていることがあります。また、利尿効果があるということで、カリウムの多いスイカを食べていた方もいらっしゃいました。
谷山先生
減塩醤油には、ナトリウムの代わりにカリウムが入っているなど、一般的に体に良いと言われているものの中にも、腎不全患者さんは避けるべきものが含まれていることがあります。自己流ではなく、医師や看護師、栄養士など医療者に相談していただきたいと思います。

医療チームを活用し、粘り強く取り組む

自己管理が難しいと感じている患者さんにアドバイスをいただけますか?
谷山先生
医師は患者さんに、「塩分を減らしてください」と簡単に言いますが、具体的な方法まで細かく説明しきれないところがあります。その点は、看護師や栄養士など、様々な職種の人たち(チーム)を、ぜひ活用してください。腎不全の患者さんの血圧は基本的に下がりにくく、短期間で急に改善するものではありません。薬やPD の処方の調整、生活習慣の改善など、医療者と患者さんが一緒になって、粘り強く、総合的に取り組むことが必要です。
最後に、PD患者さんにメッセージをお願いします
松岡先生
生活の一部としてのPD で、PD のための生活ではないので、治療を一人で抱え込んでしまわずに、患者さんと医療チーム、皆で相談してやっていけたらと思います。
中野先生
食事以外のストレス発散法も見つけていただけるといいですね。私たちが一番強く願っているのは、「PD にしてよかった」と患者さんに思っていただけることです。PDだからこそ享受できる楽しみを見つけてほしいと思います。
河村さん
患者さんに元気に毎月来院していただくのは本当にうれしいことです。何でも相談していただいて、一緒に考えていきたいと思います。
上田さん
患者さんも家族も疲れない療養生活をしていただきたいと思います。医療者はもちろん、地域の社会資源も活用していただけるような情報提供もしていきますので相談してください。
尾家さん
毎日を楽しんでほしいです。体調管理で頑張るところは頑張り、楽しむところはぜひ積極的に楽しんでください。
李さん
患者さんは本当に頑張っていると感じます。できることがあれば、いつでも力になりたいと思っています。六条さん 私は直接患者さんと接する機会は少ないのですが、看護師が患者さんのために、より活躍できるシステムづくりを目指していきます。
谷山先生
仕事や外出、旅行など、生活をエンジョイされているPD 患者さんがたくさんいらっしゃいます。我々も努力しますので、一緒に頑張っていきましょう。
3人の先生方と看護師の皆さん(前列左から、尾家さん、河村さん、看護長・六条さん、上田さん、李さん) 3人の先生方と看護師の皆さん(前列左から、尾家さん、河村さん、看護長・六条さん、上田さん、李さん)

病院データ

近畿大学医学部附属病院

近畿大学医学部附属病院

  • 〒589-8511
  • 大阪府大阪狭山市大野東377-2
  • 電話 072-366-0221(代表)
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