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巻頭特集

2014年スマイル夏号
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。

夏を元気に乗り切るために

気温や湿度が高い夏は、体調を崩しやすい季節。そこで今回は、腹膜透析(PD)患者さんが夏を過ごす上で特に気をつけたいポイントを教えていただきました。

左から西澤先生、水入先生、看護師の今田さん

左から西澤先生、水入先生、看護師の今田さん

医療法人一陽会 原田病院

水入 苑生 先生
腎臓内科 科長
西澤 欣子 先生
腎臓内科 医師
今田 美紀さん
看護師

食欲低下に注意、塩分制限は守って

夏に、PD患者さんが最も気をつけなければいけないことは何ですか?
水入先生
汗をかきやすい夏は、特に出口部や皮下トンネルの感染症、腹膜炎の発生頻度が高い傾向にあります。このため夏は普段にも増して、感染症予防の注意が必要です。バッグ交換時の清潔操作と、こまめな入浴・シャワーで出口部を清潔に保ち、毎日、出口部を観察してください。

また夏バテで食欲が落ち栄養状態が悪くなると、それだけ感染症にかかりやすくなります。場合によっては大事に至る危険もあるため、十分な栄養を摂ることも大切ですね。
夏はどうしても食欲不振になりがちです。どうしたらよいでしょう?
西澤先生
80 代くらいのご高齢になると、まったく食べられなくなるケースも見られます。そんな時は、食欲が落ち始める前から多めに水分を摂り、好きな物を召し上がるようお話しします。食事制限を多少緩めてもよいから、食欲を落とさないようにしてほしいですね。
水入先生
リンはある程度薬剤でコントロールができます。また、PDでは透析液にカリウムが入っていないので、カリウムの摂取制限が緩やかです。このメリットを活かし、口当たりのよい果物などを食べて食欲増進につなげるのもよいでしょう。本当に食べられない時は、補助食品もお勧めします。
西澤先生
ただし、普通に食事を摂れている患者さんは、夏でも通常通りの食事制限を継続してください。
熱中症対策として、一般的に塩分の補給が推奨されています。これはPD患者さんにも当てはまりますか?
水入先生
いいえ、PD患者さんは夏でも塩分制限を守ってください。塩分は、薬剤でコントロールができませんから。

PDの除水1リットルにつきナトリウムの排出量は塩分に換算して約7.5g 分。残存腎機能がある患者さんの場合でも、尿1リットルにつき塩分は5g程度しか排泄されません。自己判断で塩分を多めに摂ると、高血圧の原因にもなってしまいます。
夏の体調管理で有効な方法はありますか?
水入先生
夏に限ったことではありませんが、毎日、血圧・体重を測って、ノートにつけることをお勧めします。体重が増えるようなら塩分・水分の摂り過ぎですし、減っている場合は食事がきちんと摂れていないことも考えられます。自分の適正体重を知った上で、体重の変化に気をつけましょう。

大切な出口部ケア

出口部のケアも重要とのことですが、原田病院ではどのような指導をされていますか?
今田さん
当院の場合、クローズド入浴(パックを出口部に貼付して浴槽に浸かる)の後、パックをはがしてシャワーと石鹸の泡で出口部をしっかり洗い、消毒して、ガーゼを当てるよう指導しています。その時に出口部の観察とカテーテルの位置の確認もお願いしています。
西澤先生
出口部にシャワーを当てることに恐怖心がある方もいるようですが、流水を当てることで出口部を清潔に保つことができます。怖がらずに行ってほしいですね。

以前は「入浴のたびに出口部のケアを」と話していましたが、実際は入浴しない日がある方もいますので、最近は「お風呂に入らなくても、毎日消毒と観察はしてください」という指導を心がけています。
水入先生
毎日観察することで、もし異常があったら早期に発見できます。そうすれば感染症になる手前で予防ができるのです。PD 開始からしばらく経つと、患者さんにも慣れが出てきて、自己流でも大丈夫だと過信してしまうことがありますが、時々自分の手技が適正かどうか見直すとよいでしょう。
自己流を見直すためには、どうしたらよいでしょう?
今田さん
当院では半年に1回、外来で実際に患者さんにバッグ交換を行ってもらい、正しくできているかを看護師がチェックします。手洗い方法やマスクの着用の有無から出口部ケアの実際まで、一連の流れを一緒に復習することで、自己流に気づくことができます。

自分で自分を守れる腹膜透析

その他、夏ならではの留意点はありますか?
今田さん
汗やテープの糊が原因で皮膚トラブルが起きることもあります。テープにも粘着力や素材が違うものが数種類ありますので、自分に合ったものを見つけるとよいですね。また、特にPDを開始してから初めての夏を迎える患者さんは要注意です。PDを開始した季節にはちょうどよかった腹帯も、夏には厚過ぎて汗の原因になることもあります。腹帯にも薄手の通気性の良いタイプがありますから、自分に合ったもの、季節に合ったものに変えるとよいでしょう。
西澤先生
高齢患者さんの中には、夏でも厚着で汗だくになっている方が見受けられます。周囲が、気温に合った服装に気をつけてあげるといいですね。
最後に、PD患者さんにメッセージをお願いします
西澤先生
夏バテをしないためには、体を動かすことも有効です。夜ぐっすり眠れ、食欲も出ます。クーラーの効いた室内ででも大丈夫ですので、無理のない範囲で体を動かしてみてください。運動が生み出す好循環で、夏を快適に乗り切りましょう。
水入先生
PDは自己管理を主体とした治療です。"あなたが、あなたを守る" のです。PDで、できるだけ腎臓の機能を残し、高いQOLを維持してください。私たちも患者さんを生涯にわたってサポートしていきます。
今田さん
私たち看護師は、腎臓疾患の患者さんに対して長期に継続的な支援ができる関係づくりを目指しています。不安なことがあれば、何でも看護師にご相談ください。

※入浴や出口部ケアの方法は、出口部の状態などによって異なりますので、おかかりのご施設の指示をお守りください。

左から本多祥子さん、森下孝美さん、今田さん、西澤先生、水入先生、山内恵子さん、中村令子さん、江田利恵子さん 左から本多祥子さん、森下孝美さん、今田さん、西澤先生、水入先生、山内恵子さん、中村令子さん、江田利恵子さん

原田病院 腎臓内科の取り組み

2010 年にPD外来を開設。翌年10月から患者さんの価値観やライフスタイル、残存腎機能を重視した療養選択支援を開始したところ、PDを選択する患者さんが年々増加。現在は関連施設も含め約30人がPD治療を行っています。

外来では腎チームを立ち上げ、外来通院中の保存期からカテーテル挿入手術時、退院後の通院まで、全期にわたって患者さんと接し、安心感を提供しています。

「ナースが当院のPDを支えている」(水入先生・西澤先生)というように、看護師が積極的に関わっている点も原田病院の特徴。たとえば経過観察に役立てるため、出口部の写真を記録として残し、その状態を院内基準によるスコアで評価する取り組みも、看護師の提案によるものです。

またバッグ交換などで日常的に支援が必要な患者さんについては、提携する介護付き老人ホームや訪問看護ステーションを紹介。各施設と密に連携し、PDを希望する患者さんのPDライフをサポートしています。

病院データ

医療法人一陽会 原田病院

医療法人一陽会 原田病院

  • 〒731-5134
  • 広島市佐伯区海老山町7-10
  • 電話 082-923-5161
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