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巻頭特集

2014年スマイル冬号
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。

無理なく、楽しく、
マイペー スで運動しませんか?

体を動かしてみたい、でも、どのような運動をしたらいいかわからないという方も多いのではないでしょうか。そこで、今回は読者の皆様からいただいた質問をもとに、PD患者さんにとっての運動のポイントをお届けいたします。

左から石渡希恵看護師、櫻田 勉先生、平木幸治理学療法士、堀田千晴理学療法士

左から石渡希恵看護師、櫻田勉先生、平木幸治理学療法士、堀田千晴理学療法士

聖マリアンナ医科大学病院

櫻田 勉 先生
腎臓・高血圧内科 講師
石渡 希恵さん
看護師
平木 幸治さん
リハビリテーション部 理学療法士
堀田 千晴さん
リハビリテーション部 理学療法士

PDを長く続けるためにも運動は大切

PD患者さんが運動を行うことには、どのようなメリットがありますか?
櫻田先生
一般的に運動には、血圧や血糖、脂質のコントロールの改善、心臓機能の向上、骨粗鬆症予防、日常生活動作の向上などのほか、精神面においても不安やうつの予防など、QOLを向上させる様々な効果があります。PD患者さんに関するデータは少ないのですが、同様の効果が期待できると思います。また、PDの場合、透析液からのブドウ糖の吸収があるので、肥満になりがちですし、透析液の貯留によって膝や腰に負担がかかりますから、運動で肥満予防や、腰背部や膝の筋力をつけていくことが大切になってきます。
平木さん
PD患者さんの下肢の筋力は同性同年代の方と比較して、79%くらいというデータ(※1)があります。身体活動量と脚の筋力は関係していますので、運動によって改善が期待できます。また、PDを長く続けるためには残存腎機能を保つことが大切ですが、高血圧や糖尿病など、腎機能を悪化させる要因となる生活習慣病の予防・改善にも運動は有効です。
  • (※1)聖マリアンナ医科大学病院調べ
運動を始める時に注意することはありますか?
櫻田先生
まず医師に運動ができるかを確認してください。心臓病がある方や血圧が非常に高い方、糖尿病で網膜症のある方は激しい運動は避けなくてはなりません。骨や関節に問題ないかも確認しましょう。出口部感染、トンネル感染を起こしている時は、運動は避けていただきたいですね。
どんな運動が適していますか?
櫻田先生
いきなり激しい運動ではなく、ウォーキングから始めてみてはいかがでしょう。「運動」というより「習慣」ですね。歩く習慣を身につけることを心がけてもらうのが一番よいと思います。水泳も出口部をしっかり保護すれば問題ありません。(※2)
平木さん
脚の筋力が低下している方が多いので筋力トレーニングと、ウォーキングなどの有酸素運動を併用してやっていただきたいと思います。脚の筋力は非常に大事で、ある一定の筋力がないと歩けなくなります。日頃から体操やウォーキングなどで、脚力を落とさないような生活を心がけましょう。
  • (※2)出口部の状態等にもよりますので、必ず主治医にご相談ください。

継続が大切

適度な運動の「適度」とは?
平木さん
「適度」というのは、年齢や性別、体力によって異なります。運動は軽すぎても有効ではありませんし、逆に激しすぎては残存腎機能に負担を与える可能性があります。1つの目安としては、運動中に人と会話ができるくらい(息が少し弾む程度)が適度と言えます。ハーハーして、会話もできないのは、激しい運動です。また、次の日まで疲労や痛み(筋肉痛)が残るようではやり過ぎです。
堀田さん
「やり過ぎる」と続きませんから、疲れが残らず、楽しくできることが重要です。高齢で筋力、体力が落ちていて、そもそも長く歩けないのであれば、軽い筋トレだけで十分です。
櫻田先生
運動の効果は、ある程度継続しないと出てきません。やり方、種類ではなく、継続が一番大切です。
運動を続けるコツはありますか?
平木さん
歩数計を着けたウォーキングや散歩がお勧めです。運動量を数値化できるので、励みになります。着けるだけでも歩くことに意識が向き、歩数が増えると言われています。生活習慣病予防には1日8000~1万歩が推奨されていますが、これは運動だけでなく、朝起きて、就寝までの1日の活動すべてを含んでの歩数です。とはいえ、いきなりそれを目標にするのは大変ですから、まずご自身がどのくらい歩いているのかを歩数計で調べてみましょう。そして、平均的な1日の歩数から1000歩(時間にして10分程度)多く歩くことを目指しましょう。
また、自分だけで運動を継続するのはなかなか難しいので、日々の努力を病院のスタッフに見てもらうこともお勧めです。例えば、血圧手帳のメモ欄に歩数を書いておき、見てもらってほめてもらう。ほめられれば、さらなる動機づけになりますので、ぜひ人に見てもらう工夫もしてみてください。

出口部に負担がかかったり、腹圧がかかったりする運動は避ける

やってはいけない運動はありますか?出口部に対して注意することは?
櫻田先生
カテーテルが出ている部分に刺激を与えるような、格闘技、柔道、ボクシングなどの運動は適しません。両背部を伸ばす運動や腰をひねる運動などもカテーテルに力がかかるので注意が必要です。
また、透析液でお腹に圧力がかかっていますので、さらに過度に腹圧をかけると、臍・鼠径ヘルニアになる恐れがあります。腹部に力を入れる運動はしないでください。
平木さん
人がいる場所の方が続けやすいという方には、スポーツクラブの利用もよい方法ですが、大きく体を後ろに反るストレッチや、いきむほど強い負荷をかける筋トレは避けてください。
石渡さん
ゴルフやテニスなどお腹をねじるような運動では、出口部に負担をかけないように、カテーテルの固定方法について、医療者に相談してください。ウエアやベルトなどの摩擦も出口部を刺激しますので、ベルトの位置などを意識してもらえたらと思います。また、カテーテルの先が何かに引っ張られたりしないように、しっかりとしまってほしいですね。汗をかいたらシャワーや清浄綿などで、すみやかに清潔を保つことも大切です。

自分のペースで続けられる運動を

最後にPD患者さんにメッセージをお願いします
櫻田先生
「無理なく・楽しく・マイペース」。この3つが運動を続けるキーワードだと思います。三日坊主では効果はありません。自分のペースでできる運動を楽しく続けてください。
平木さん
体調がすぐれないときには、いつもしているからと無理をするのはいけません。運動は体調のよい時に。まさに「無理なく・楽しく・マイペース」です。
堀田さん
運動は「健康寿命」を延ばすことにもつながると思います。ぜひ運動に興味を持っていただきたいです。
石渡さん
お友だちに会うためということでもよいので、まず外に一歩出るきっかけを作ってください。外に一歩出ることが運動につながると思います。
腎臓病センターの前にて、腎臓・高血圧内科 小板橋賢一郎先生(中央右)、看護師 藤嶋千華さん(右端)と 腎臓病センターの前にて、腎臓・高血圧内科 小板橋賢一郎先生(中央右)、看護師 藤嶋千華さん(右端)と

聖マリアンナ医科大学病院 腎臓病センターの取り組み

2003年に設立された腎臓病センターでは、内科、外科および小児科が合同で腎疾患の診療に当たっています。腎移植も積極的に行っており、年間10~20件の手術が行われています。これに伴い、腎移植までの橋渡し的役割としてもPDが広く認知されており(140名の腎移植患者のうち約35%がPDからの移行)、現在は35~40名前後のPD患者さんを管理。他施設から短期間研修に来られる先生方も多く、その先生方もPD診療に携わり、正しい腎代替療法の提示ができるように教育がなされています。また、近年注目されている在宅血液透析(HHD)の導入も開始し、「在宅(PD)から在宅(HHD)へ」というオプションも勧められるようになりました。

腎代替療法について、可能な限り、患者さんのニーズに応えられるようにと、市民公開講座/腎臓病教室(年1回)、慢性腎臓病教育入院、看護師による腎看護相談、医師および看護師による透析療法選択外来など、様々な方法での情報提供が行われています。

病院データ

聖マリアンナ医科大学病院

聖マリアンナ医科大学病院

  • 〒216-8511
  • 神奈川県川崎市宮前区菅生2-16-1
  • 電話 044-977-8111(代表)
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