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巻頭特集

2015年スマイル春号
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。

年齢を重ねても、
PDライフをいきいきと

世の中の高齢化に伴い、腹膜透析(PD)患者さんの中にも、ご高齢の方が多くいらっしゃいます。今回は、高齢の患者さんがいきいきと快適なPDライフを送るためのコツを教えていただきました。

左から、大脇さん、平松先生、丸山先生

左から、大脇さん、平松先生、丸山先生

岡山済生会総合病院

平松 信 先生
院長代理、腎臓病・糖尿病総合医療センター長、予防医学部長
丸山 啓輔 先生
内科主任医長、腎臓病センター長
大脇 浩香さん
透析看護認定看護師

高齢の患者さんにやさしいPD治療

高齢の患者さんにとって、PDのメリットは何でしょうか?
丸山先生
そもそも腹膜透析(PD)は、心臓への負担が少なく体にやさしいという特長があります。また、PDは血液透析(HD)に比べると透析効率が高くはありませんが、高齢の患者さんは少食で筋肉量も少ないため、透析量も少なくてよく、その点でもPDに適していると思います。このほか、通院の負担が少なく、時間的な自由度が高いことも、患者さんとご家族にとって大きなメリットだと思います。
平松先生
私は、PDは高齢の患者さんにとって非常に良い治療法だと考えています。生活面や身体面での負担が少ないことに加え、患者さんとご家族が一緒に取り組むことで絆が深まり、より充実した毎日を送れるとの声もよくお聞きします。また、機器の操作をご自身で行うため、認知機能の維持にも一役買っていると思います。
PDに慣れるためのポイントを教えてください
丸山先生
事前に病院でPDのメリット・デメリットから操作方法まで、十分な説明を受けられたと思いますが、いざ始めてみると様々な疑問や不安が出てくるのではないでしょうか。そんな時は、次の診察まで待たずに病院へ問い合わせていただくといいですね。小さな疑問でも、早めに解決することで不安も軽減されます。
大脇さん
「完璧にやろう」とがんばりすぎず、時には気楽に向き合うことも大切です。ご自身で上手くできないことがあれば、ご家族や介助者の手を借りましょう。当院では、患者さんに合わせたサポートを心がけており、必要があれば手順を大きな紙に書いたり、補助具を手作りしたりもしています。これも患者さんが相談してくださるからこそ、工夫できるのです。周囲のサポートを上手に取り入れることが、PDに慣れる近道になります。

PDならではの生活の自由度を楽しみましょう

食事や運動、旅行などで気を付けるポイントを教えてください
(食事)
丸山先生
高齢の患者さんでは、お漬物など濃い味付けの食事がお好きな方が多いので、「塩分の摂りすぎには気を付けて」といつもお伝えしています。ただ、すべてのメニューを薄味にする必要はありません。味の濃いものと薄いものを組み合わせて、最終的に1日の摂取量が適正な範囲となれば善しと考えましょう。
(運動)
丸山先生
無理な運動をする必要はありませんが、筋力や体力を低下させないため、家にこもらないように心がけてください。通院回数が少ない分、運動不足になりがちなので散歩などを日課にするといいでしょう。
大脇さん
散歩や買い物、庭いじりなど、日々の生活を楽しむ中で自然に体を動かせると良いと思います。ただし、ケガをするとかえって運動量が落ちますから、くれぐれも無理せず、転倒などに注意してください。
(旅行)
丸山先生
高齢の患者さんは1日の必要透析量が少ないので、病状にもよりますが移動時間に合わせて透析メニューを調整するなどの対応がとりやすいと思います。当院では事前に行き先や行程をお聞きし、旅を楽しみやすい処方スケジュールに変更することもあります。出発前に担当の医師に相談してみましょう。ただし、決して自己判断せず、医師の指示に従うようにしてください。
PDの治療や自己管理に関して気を付けることはありますか?
大脇さん
病状の変化等に応じて、透析の回数や透析液の種類が変更になることがありますが、生活のリズムや操作手順などが変わり、混乱される方がいらっしゃいます。また、カテーテルを固定するテープをハサミで剥がそうとして、誤ってカテーテルを傷つけてしまったケースもありました。焦らず、病院でもらったパンフレットやメモを参照しながらゆっくり進めてください。

社会的支援を上手に活用してより快適な毎日を

患者さんとご家族が快適な生活を送るためのコツはどのようなことでしょうか?
丸山先生
きちんと治療を行うことは大切ですが、それにとらわれすぎ、PDをするために生きていると感じるようになってしまっては本末転倒です。常に100点満点である必要はないのです。例えば毎朝8時にバッグ交換を行う方でも、時々は過ぎてしまっても大丈夫です。また、「どうしてもラーメンが食べたい!」という日もありますよね。その分をどこかで調整し、全体として適正な生活になっていれば問題ありません。柔軟な気持ちでいることが、患者さんにとってもご家族にとっても大切です。
大脇さん
訪問看護やデイサービスなど社会的な支援を上手に取り入れることも、快適な生活を送るコツです。デイサービスやショートステイを利用して外出の機会を作ったり、運動不足の方は訪問リハビリテーションを利用したりするなどうまく活用できるといいですね。
デイサービスやショートステイを利用する際のポイントを教えてください
丸山先生
地域で利用できるサービスについては、看護師などに尋ねてみてください。ただ残念なことにPD患者さんを受け入れていない施設もあります。利用できる施設が見つからない場合もあきらめず、病院スタッフに相談していただきたいと思います。施設の体制にあわせて処方を変更するなど、病院と施設が連携することで受け入れ可能となるケースもあります。
高齢のPD患者さんにメッセージをお願いします
丸山先生
PDは透析回数や時間変更も可能な柔軟性のある治療法です。病院のスタッフは患者さんの苦痛や不便を解消する様々なアイデアを考えることができますから、ささいなことでも相談して欲しいと思います。
大脇さん
PDの導入は、患者さんとご家族がこれからの生き方についてしっかり考える良い機会になるのではないかと思います。PDと上手に付き合って、より充実した日々を送っていただきたいです。
平松先生
高齢の方には、年齢を重ねる中で様々なものが失われていくことに対して、それらを受け入れていく力があると感じ、「加齢は必ずしもデメリットではない」ということを日々教えられます。PDも含めた在宅医療には様々なご苦労があると思いますが、今後も病院スタッフ一同で、患者さんのより良いPDライフを支えていきたいと思います。
腎臓病センター スタッフの皆さん 腎臓病センター スタッフの皆さん

岡山済生会総合病院 腎臓病センターの取り組み

同院では1993年7月にHD、PDに対応した腎臓病センターを設置、2010年4月には腎臓病センターと糖尿病センターをあわせた腎臓病・糖尿病総合医療センターを開設しました。「透析患者さんの約44%が糖尿病性腎症から透析へと移行してくる方です。腎臓病と糖尿病を連携して診る体制が必要と感じ、2つの診療科を統合させた医療体制を構築しました」(平松先生)。

腎臓病センターは現在、医師9名、臨床工学技士6名、看護師7名のスタッフで運営しています。「ご自宅での治療開始前には看護師がご自宅を訪問し、PDを行う部屋や透析液の保管場所までアドバイスするなど、患者さんへのきめ細かな対応を心がけています。また、デイサービスなど地域の受け入れ施設の拡大にも力を入れています。PDについてきちんとご理解いただければ受け入れてくれる施設も多いので、今後も粘り強く探していきたいです」(大脇さん)。

「医療従事者や介護従事者のPD認知度の向上など、PDを選択しやすい社会環境の整備にも取り組んでいきたいと思います」(丸山先生)。

病院データ

岡山済生会総合病院

岡山済生会総合病院

  • 〒700-8511
  • 岡山市北区伊福町1-17-18
  • 電話 086-252-2211(代表)
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