1. 腹膜透析(PD)情報サイト トップ
  2. 快適な腹膜透析(PD)ライフのための情報誌「スマイル」
  3. 巻頭特集
  4. PDライフを安心して続けるために~知っておきたい「訪問看護」~

巻頭特集

2015年スマイル冬号
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。

PDライフを安心して
続けるために
~知っておきたい「訪問看護」~

訪問看護師が患者さん宅まで伺い、疾患の看護を行う「訪問看護」。今回は、在宅での不安を軽減し、快適なPDライフを送るための訪問看護の利用について、お話を伺いました。

左から、蔵谷さん、櫻田さん、吉原先生、井上さん、小原先生、保坂さん、野村さん

左から、蔵谷さん、櫻田さん、吉原先生、井上さん、小原先生、保坂さん、野村さん

函館五稜郭病院

小原 史生 先生
腎臓内科 科長
吉原 真由美 先生
腎臓内科 医長 兼 透析センター長
井上 美佳さん
医療総合サービスセンター 在宅療養支援室
蔵谷 ともみさん
南6階病棟師長
櫻田 友美さん
透析室主任
野村 恵美さん
透析室看護師
保坂 明美さん
「訪問看護ステーションフレンズ」 所長

定期的に看護師が訪問することで、小さな疑問や不安も気軽に相談できる

「訪問看護」とはどのようなものかを教えてください
保坂さん
看護師が患者さんの自宅へ伺い、その方に必要な看護を提供するのが訪問看護です。「訪問『介護』と何が違うの」と聞かれることもありますが、訪問介護ではヘルパーさんが食事や掃除、買い物といった生活面の援助や、清拭や入浴といった身体面の介助などを行います。一方、訪問看護では個々の患者さんの病気に対する看護を行うとともに、ヘルパーさんと同様に生活援助をすることもありますが、そこに医療の視点が加わり、問題が起きている際に「なぜこの状況が起きているのか」を医療の側面から検討する点が介護との違いと言えます。また、訪問看護は高齢者向けというイメージがあるかもしれませんが、年齢を問わず、病気に応じて利用できます。
PD患者さんが訪問看護を利用するメリットについて教えてください
吉原先生
退院直後は、自宅での環境や手技について訪問看護師にチェックしてもらうことで、安心して治療をスタートできます。不安を感じている患者さんやご家族にとって、家に確認しにきてもらえるだけでも安心だと思いますね。また、手技が不安定で腹膜炎を起こした後なども、訪問看護師のサポートは有効だと思います。病院の医師や看護師と訪問看護師が連携することで、何かあったときでも的確に患者さんの状態を把握でき、早めに対応できるので、私たち医療者にとっても安心です。そして、これから透析を始める方で、高齢者など自宅での治療が不安でPDをためらう場合でも、訪問看護師の力を借りることでPDを選択できるようになるのではないでしょうか。
井上さん
PD導入時には利用していなくても、腹膜炎を繰り返している方や、加齢のため手技や体重、薬の管理に不安が出てこられた方、また、ご家族が病気などで治療のサポートが難しくなった時などは、利用を検討していただきたいと思います。
PD患者さんは、実際にどのような訪問看護サービスを受けているのでしょうか
井上さん
お体の状況やご家庭でどの程度まで治療のサポートが必要かによっても異なりますが、手技のチェックや生活指導などで利用されている方が多いですね。自宅での療養生活では、わからないことや疑問に思うことがあっても、病院に問い合わせるのをためらうことがあると思いますが、訪問看護が入ることで小さな疑問もすぐに解決できるので、ご家族からも安心できるという声がよく聞かれます。
保坂さん
私たちの訪問看護ステーションでは、状況に応じて、室内の清潔度や、バッグ交換の手順、機械の操作などの確認、体重や除水、出口部のチェックなどを行っています。家に帰ると患者さんには生活や人生があります。管理が上手くいかない時にも、あれはダメこれはダメではなく、その方の生活に合った解決策を考えるようにしています。生活を見ることができるのが訪問看護ですから。
「訪問看護」を利用したいと思ったときの相談先や費用について教えてください
井上さん
かかりつけ病院の医師や看護師、また当院のように在宅療養支援室がある病院であればそこでも相談できます。介護サービスを利用している人は、ケアマネージャーさんに相談するのも1つの方法です。費用は、介護保険だと1~2割、医療保険だと1~3割ほどの自己負担となりますが、助成制度がある自治体もあります。世帯の所得や市町村によっても違うので、まずは住んでいる市町村の役所に相談してください。

患者さんも家族も安心できる、良好なPDライフを送るために

貴院では、PD導入直後の患者さん全員に、訪問看護を紹介しているそうですね
蔵谷さん
入院中はきちんと行えていても、自宅に戻ると機械を置く位置が違うだけで混乱してしまったり、手順を忘れてしまったりして、間違ったやり方でPDを行ってしまうことがあります。その結果、腹膜炎などを起こして再入院されることもありますので、予防のため、訪問看護が可能な地域であればすべての患者さんに療法説明の段階でご案内しています。また、「ここまでは入院中にしっかり身につけて、後は訪問看護師さんにも助けてもらいましょう」と考えられるので、結果的に入院期間を短くできるケースもあります。
井上さん
訪問看護という言葉は聞いたことがあるけれど、何をしてくれるのか知らない患者さんも「看護とあわせて、付随する生活面の相談もできますよ」と話すと「使ってみたい」と言われる方が多いですね。
野村さん
透析室でも、PDを導入されている患者さんやご家族の方で何か困っている様子があれば、積極的に訪問看護について情報提供しています。
櫻田さん
長年、患者さんのお世話をされてきたご家族の中には、「まだ必要ない、他人に入ってもらいたくない」という方もいらっしゃいますが、「家族でできない部分を、訪問看護師さんにお願いすればいいのだから」と、さりげなく伝えるようにしています。「何もかも1人でやらなくていい」と思うことで、患者さんの気持ちも楽になるようです。当院の患者さんで腹膜炎を繰り返していた方がいましたが、訪問看護の利用を開始したところトラブルがなくなり、とても明るく元気になられました。奥様と2人暮らしでしたが、「人が来てくれるのはいいものだ」と仰っていて、私たちも嬉しく思いました。
PD患者さんへのメッセージをお願いします
吉原先生
訪問看護の利用により、PDを選択できる方が増えていくと思います。時間的な制約も少ないので、ご自分らしい生活を送っていただきたいですね。
井上さん
訪問看護をはじめ、地域の中には患者さんをサポートしてくれるさまざまなサービスがあります。住み慣れた自宅で安心して療養生活を送れるよう、私たちも積極的に関わっていきたいと思います。
蔵谷さん
病棟でも訪問看護を含めた幅広い情報提供を行っていきたいと思います。いろいろなサービスを活用して長くPDを続けていただきたいですね。
櫻田さん
患者さんへの情報提供はとても大事だと感じています。高齢者世帯が増えている中で支えてくれる人がいることを伝えていければと思います。
野村さん
安心して頼れる訪問看護という存在があることをぜひ知っていただき、よりよいPDライフを送っていただきたいです。
保坂さん
訪問看護を活用して、いい人生を送ってください。私たち訪問看護師は患者さんの人生に寄り添うサポーターになっていきたいと思います。

函館五稜郭病院 腎臓内科の取り組み

腎臓内科 科長小原史生先生に伺いました

道南地域の医療を担う当院では、腎臓病の保存期から透析まで一貫して治療にあたっており、地域のPD患者さんの支援も行っています。残存腎機能を温存でき、生活の自由度も高く、仕事や趣味を続けたい方などにメリットが多いと考えられるPDから透析を開始する「PDファースト」の考え方を推進し、療法説明の段階で十分な情報提供をするようにしています。また、高齢の方や遠隔地にお住まいの方でも安心してPDを続けていただけるよう、地域の病院や訪問看護ステーションと連携した「函館腹膜透析研究会」の活動にも取り組んでいます。患者さんとご家族を地域全体で包括的に支えていける体制をつくっていきたいですね。

小原史生先生
看護師の取り組み

同研究会の「ナース部会」でも、多くの取り組みを行っています。4年前の災害対策の共有から始まったこの活動では、昨年から「訪問看護」をテーマにケアマネージャーや訪問看護師への勉強会を企画。「症例紹介や、PDの機械を触っていただく機会も設けています。腎臓病やPDの看護のポイントを理解してもらい、患者さんが安心して帰れる体制を地域でつくっていきたいと考えています」(南6階病棟師長 蔵谷ともみさん)。

〈函館腹膜透析研究会
ナース部会〉 〈函館腹膜透析研究会ナース部会〉
左上から函館五稜郭病院 櫻田友美さん/井上美佳さん、函館中央病院 松田ゆかりさん
左下から函館五稜郭病院 蔵谷ともみさん/五稜郭ネフロクリニック 伊藤可奈子さん/おおてまちクリニック 中野祥乃さん

病院データ

函館五稜郭病院

函館五稜郭病院

  • 〒040-8611
  • 函館市五稜郭町38番3号
  • 電話 0138-51-2295(代表)
ページトップ