1. 腹膜透析(PD)情報サイト トップ
  2. 快適な腹膜透析(PD)ライフのための情報誌「スマイル」
  3. 患者の達人
  4. 息子を一人前にするまでは毎日現場で働き続けたい!

患者の達人

2012年スマイル春号
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。

息子を一人前にするまでは
毎日現場で働き続けたい!

患者の達人

秦野 将幸さん(59歳)

PD歴:4年6ヵ月、山梨県
東京医科大学八王子医療センター

息子や仲間と楽しんだ鮎釣りにも、また行けるようになったと休日の様子を笑顔で語る秦野さん。

ビデオメッセージ

仕事人間が透析をすることに。受け入れがたい宣告に、涙

腹膜透析(PD)を開始して4年半になる秦野将幸さん(59歳)。大工職人として毎日現場で働いていると、「親方は本当に透析してるの?」と他の職人さんから聞かれることもあると言います。自称「大工ロボット」と言うほど仕事人間の秦野さんですが、32歳のときにⅠ型糖尿病と判明し、以来、1日4回のインスリン注射と食事療法を続けながら糖尿病と付き合ってきました。しかし、55歳になって合併症が急激に悪化し、腎不全に。

そして、緊急処置で血液透析を受けた後、脱水症状もあって腎臓の機能は回復せず、そのまま透析を続けなければならないと宣告されました。「でも毎日現場に行って働けないんじゃ、俺の人生も終わったな・・・と思い、病室で4、5日間泣いてばかりいましたね。大工の仕事は1日置きに現場に行っても成り立たない。女房も毎日泣いててね。あのときのことを思い出すと、今でも涙が出てくるよねえ」。目を潤ませながら振り返ります。

ちょうどそんなとき、秦野さんは腹膜透析(PD)のことを知りました。「腹膜透析なら日中自由に動けるから、毎日仕事をすることができるかもしれない! と思い、糖尿病だと難しいと言われたけど、先生に腹膜透析をしてみたい、だめだったらあきらめて血液透析にするからとお願いしたんですよ」。

仕事を半ばあきらめ、沈んでいた気持ちがPDとの出会いで前向きになったとのこと。また、自分のために一生懸命、治療をしてくれる主治医の吉川憲子先生や看護師さんの姿に心を打たれ、いつまでもシュンとしてちゃいけない! と思い直したそうです。

担当医の吉川憲子先生(前列中央)と冨安朋宏先生(後列右)、廣瀬剛先生(後列左)、腎臓内科のスタッフの皆さん 担当医の吉川憲子先生(前列中央)と冨安朋宏先生(後列右)、廣瀬剛先生(後列左)、腎臓内科のスタッフの皆さん

息子を一人前にするまで、仕事を続けたい

秦野さんが仕事復帰にこだわったのには、もうひとつ理由がありました。それは当時、息子さんを大工にしたばかりで、「息子を一人前の職人に育てるまでは、仕事を辞められない!」との父親としての気持ちがあったことです。

透析を始める前は足がパンパンに腫れて歩けないこともありましたが、透析を開始して以降は、調子も良く、仕事がある方が元気だし、屋内の造作仕事なら、若い衆にはまだまだ負けないと言います。

秦野さんの生活は、朝6時の起床から始まります。夜間に行った腹膜透析(APD)の片づけをして朝食を済ませ仕事へ。8時には現場で仕事に着手して、帰宅するのは19時30分頃。仕事をしている時間は透析を始める前と変わらないとのこと。帰宅後は排液を行ってから、夕食・風呂・仕事の準備をして、22時にAPDの器械をセットして就寝します。

秦野さんのもとで仕事を続ける息子さんは、昨年結婚したばかり。一人前の大工になるまで、見届けねばならないことはまだたくさんあります。

休日は趣味の鮎釣りにも出掛けられる

こうした秦野さんを365日支えてくれているのは、奥様です。自らも仕事をしながら、夫の体調に気遣った朝食とお弁当を毎朝つくって送り出し、仕事から戻ったら夕食の支度はもちろん、秦野さんが現場へ出ている日はAPDの器械も準備してくれています。

また、友人やお客さんの励ましも力になりました。「早く治して鮎釣りに行こう」、「家を修繕して」といった言葉にどれほど勇気づけられたかわからないとおっしゃいます。

休日には趣味の鮎釣りに行けるようにもなりました。これからは、泊まりで家族や友人と旅行や釣りに出掛けたい。皆の励ましのおかげで、透析を宣告されたときには考えられなかった「自由に動ける生活」を満喫していると語ってくださいました。

病院スタッフからのメッセージ

東京医科大学八王子医療センター 腎臓内科 吉川 憲子 先生

秦野さんはⅠ型糖尿病のために、残存腎機能の低下が早いことが予測されました。しかし、当初の予測よりも残存腎機能が低下していないため、現在までのところスムーズにAPDを継続できていると思います。
血糖を上手にコントロールしながら、合併症がひどくならないように、足の指を怪我でなくしてしまっているので、今後も足には細心の注意を払っていただきいと思っています。

ページトップ