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患者の達人

2014年スマイル春号
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。

どういう人生を送りたいか…
私は「料理の仕事を続けたい」と思いました

患者の達人

山村 裕吏さん(57歳)

PD歴:1年5ヵ月、オーナーシェフ
福井大学医学部附属病院 腎臓内科

蟹、甘海老、若狭牛、そして季節の野菜。食材の宝庫・福井で、洋食と本格フレンチのレストラン「洋膳やまむら亭」を営む山村裕吏さん。「仕事も趣味も料理」という山村さんがPDを導入して1年5ヵ月。妻・悦子さんの強力なサポートのもと、やまむら亭の味は健在です!

料理と接客、夫婦のハーモニーが、やまむら亭の評判を呼んでいます。

仕事ができなくなる!?

「日本人ですから、洋食もフレンチも、お箸で気軽に気取らずに召し上がっていただきたい」。これが「洋膳やまむら亭」のコンセプト。丹精込めた料理に、若狭塗の半月盆や小浜の塗箸など福井県の名産品がしっくりなじみ、毎日多くのファンで賑わっています。

小学生の頃から包丁を握っていたという山村さんは、現在でも「趣味は料理だけ」とおっしゃるほど。ホテル等での修業ののち、1990年に福井市内で独立。95年には「もっとゆったりした空間で」と実家の近くでもある現在の地に移転しました。

ちょうどその頃のこと、体に発疹が出て検査したところ、腎臓に問題があるとの結果が。腎生検も受けましたが、はっきりせず、食事療法と肥満に注意することを指示されたものの、その後は多忙の中で十数年が瞬く間に過ぎてしまったのです。

そして今から4年程前、今度は傷の治りにくさを感じて皮膚科を訪れると、「腎臓の数値がおかしい」と腎臓内科を紹介されて受診。近い将来、透析が必要になると告げられました。「『仕事ができなくなるのでは…』ととても不安を感じました」と山村さんは当時を振り返ります。

妻の全面的なサポートでPDと出合う

後列右から、岩野正之教授、山村さんご夫妻、横山由就先生前列右から、看護師の石田真由美さん、齊藤真希さん、小川 茜さん 後列右から、岩野正之教授、山村さんご夫妻、横山由就先生
前列右から、看護師の石田真由美さん、齊藤真希さん、小川 茜さん

妻・悦子さんは、お店では接客を担当。公私ともにかけがえのないパートナーです。その悦子さんが夫のために、インターネット、書籍、医療関係の知人、あらゆる手段を講じて腎臓病の猛勉強を始めました。複数の病院へも足を運び、腎臓病教室にも参加して情報収集。その結果、「自宅でできる腹膜透析(PD)を知って、これなら仕事が続けられるのでは?」と考えるようになりました。「腎臓病教室で知り合ったPDの方を訪ねて生活の様子を拝見したり、お腹に入ったカテーテルの写真まで撮らせてもらったりしました。看護師の石田さんも親身に相談に乗ってくださって、いろいろな疑問も解消でき、PDの方向へ考えが固まっていきました」と悦子さん。

当時、福井大学病院ではPDを行っていなかったため、他の病院へ転院の手続きを進め始めた2011年、PD治療の経験豊富な岩野正之先生が教授として福井大学に着任。山村さんは2012 年10月、同院で第1号のPD導入となりました。

"学び"が"出会い" を。情報を得ることで不安が解消

山村さんの1日は、朝7時半のAPD終了とともに始まります。その後、2日に1度長時間貯留できる透析液を入れ、9時には自宅近くの店に出勤。仕込みをして11時半~15 時がランチタイムの営業。昼食と休憩の間にお腹に透析液が入っている場合は排液し、ディナーの準備の後17時~22時までディナーの営業とほぼ1日をお店で過ごします。帰宅後は、夕食、入浴。23時半にはAPD開始とともに就寝。「お酒が飲めない主人に、APDはピッタリだと思いました(笑)」(悦子さん)。

岩野先生からは、「きちんと自己管理できる方なので、状況に合わせて日中4回行うCAPDにしたり、パターンを変えてもいいですよ」とのお墨付きも出て、パーティーの多い時期やおせち作りで夜中までの仕事になる時などは、ご自分で工夫しています。

「情報を得ることで、導入後の生活のイメージができ、不安が解消していきました。学ぶことは大切ですね。そこからの人との出会いもありがたかったです」と悦子さん。山村さんは、「仕事をやめていたら、一気に老け込んでいたと思います。結局は、自分がどういう人生を送りたいか。私は『料理がしたい』、と思いました。この気持ちを大切にしてよかったと思います」と、今、仕事を続けている喜びをしみじみと話してくださいました。

「洋膳やまむら亭」 http://www.yamamuratei.com/

病院スタッフからのメッセージ

福井大学 医学部腎臓病態内科学 教授 岩野 正之 先生

山村さんは福井大学で初めてPDを導入した患者さんで、大学病院正面出口前にある洋食屋「やまむら亭」のオーナーシェフです。やまむら亭は美味しいハンバーグランチや本格的なフランス料理が人気のお店で、学生や病院職員の多くが利用しています。山村さんは、料理に対するのと同様の真剣な姿勢でPD 療法に取り組まれているため、PDに対する理解や手技が完璧であり、しっかりと自己管理されています。やまむら亭ファンのためにも、PDを続けながら、これからもシェフとして美味しい料理を作り続けてもらいたいと思います。

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