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患者の達人

2016年スマイル夏号
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。

あきらめかけた
仕事も旅行も楽しんでいます

患者の達人

山中 明子さん(68歳)

PD歴:4年2ヵ月
奈良県立医科大学附属病院

透析が必要と医師から告げられ、目の前が真っ暗になったという山中さん。 「大好きな旅行も小田和正さんのコンサートも、もう行くことができない」 と落ち込みましたが、現在は腹膜透析(PD)を続けながらアクティブな毎日を過ごしています。

すぐに透析が必要と告げられ「自覚症状がなかったので本当にショックでした」

山中さんは現在、ご主人と家族同様の18歳と6歳になる猫と一緒に、奈良県の中西部に住んでいます。

山中さんが腎臓の異変に気づいたのは2012年。頻繁に起こる激しい頭痛がきっかけで行った全身のCT検査で、左腎の萎縮と右腎ののう胞が見つかったのです。精密検査の結果、すぐに透析が必要と告げられ「全く自覚症状がなかったので、本当にショックで目の前が真っ暗、人生終わりと思いました」と振り返ります。

その後、自宅に近い奈良県立医科大学附属病院を紹介してもらい、そこで、血液透析(HD)とPDの詳しい説明を受けました。仕事をしている山中さんのライフスタイルに合っているのではと、先生から勧められたこともあり、PDを選択したいと考えたものの、自宅で一人で治療を行うことには不安が大きかったそうです。しかし、疑問に丁寧に答えてくれる先生の存在や「清潔にしていれば、腹膜炎は防げるから大丈夫」という看護師さんの励ましに、少しずつ不安は解消していきました。また、PDを行っている患者さんの話を聞く場も設けてもらい、さらに家族が背中を押してくれたことで、決心がついたと話します。「PDにすると決めたら、1日も早く猫たちの待つ自宅に帰りたかったので一生懸命に手技を覚え、2週間の予定を10日間で退院できました」。

PDを通じて、支えてくれるたくさんの人に出会えたことが私の財産

左から、森本真来さん(看護師)、稲葉由佳さん(看護師 主任)、山中さん、赤井靖宏先生(主治医)、馬場靖子さん(看護師) 左から、森本真来さん(看護師)、稲葉由佳さん(看護師主任)、山中さん、赤井靖宏先生(主治医)、馬場靖子さん(看護師)

山中さんのバッグ交換は、朝8時と、仕事に出かける前の12時、帰宅後の19時、就寝前の24時の1日4回。ご家族はPDを優先できるよう、時間に気を配ってくれています。

バッグ交換時にエアコンを切る、石けんでよく手洗いを行う、机の上を除菌ウェットティッシュで拭くなど、看護師さんから教わった基本をしっかりと守り、腹膜炎などのトラブルは今まで一度もありません。もちろん、バッグ交換をする部屋には猫たちも入れません。「毎日毎回守ることは大変ですが、もう習慣になっていますし、腹膜炎で入院して猫たちと離れるのは嫌ですからね(笑)。治療自体は、想像していたより難しくはなかったです」とPDの印象を話します。

大型スーパーの衣料品売り場でのお仕事も、上司や同僚からの「サポートするからやめないで」との温かい声と協力に助けられながら、以前と変わらず続けています。体を動かすことが多い仕事なので、カテーテルの固定には市販のポケット付きの腹巻きに穴を開けたものを愛用しているそうです。

そして、年に数回は旅行や大好きな小田和正さんのコンサートにもご主人と一緒に出かけています。「最初はもう行けないと思いましたが、先生にも『大丈夫』と言っていただいて。今年もコンサートでは、大阪、富山、名古屋、福岡に行きたいですね」と楽しい計画に笑顔がこぼれます。快適なPDライフを続けるコツは、どんなに些細なことでも、遠慮なく先生に聞き、何でも話せる看護師さんに普段から相談することと話す山中さん。「腎臓が悪くなったことはとてもショックでしたが、先生や看護師さんに出会え、家族をはじめ、多くの人に支えてもらったことが私の大きな財産です。尿量が減ってきて、HDの併用やHDへの移行など、今後も不安はありますが、皆さんに相談しながら、仕事に遊びに、楽しみたいと思います」の言葉に山中さんの温かで前向きなお人柄が伝わってきました。

病院スタッフからのメッセージ

奈良県立医科大学 地域医療学講座 教授 赤井 靖宏 先生

山中さんは、療法選択時には不安でいっぱいでしたが、PDを選択されてからは前向きにPDライフに取り組んでいただいています。PD開始後もできるだけ開始前と同じ生活をしていただけるように、いろいろ話し合いながら診療を進めています。仕事を頑張りながらPDライフを送っておられる山中さんに、私自身も刺激を受けています。
当院ではPDをはじめ,血液透析や腎移植も施行しており、看護師や栄養士などとともに、透析や腎移植についてチームで時間をかけて説明しています。できるだけ、患者さんが納得し、安心して透析や腎移植が受けられるように、そして、できるだけ腎臓が悪くない方と同じように元気に生活が送れることを目標に診療しています。

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