1. 腹膜透析(PD)情報サイト トップ
  2. 快適な腹膜透析(PD)ライフのための情報誌「スマイル」
  3. 患者の達人
  4. 野菜を『愛車』で直売所へその仕事が楽しい日課です

患者の達人

2017年スマイル秋号
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。

野菜を『愛車』で直売所へ
その仕事が楽しい日課です

患者の達人

内藤 國夫さん(82歳)

PD歴:1年9ヵ月
田川市立病院

若いころから農業に従事していた82歳の内藤國夫さん。足が不自由になった今も、奥様のマサ子さんと二人三脚で元気に過ごしています。腹膜透析(PD)を選んだ理由と手技を覚えるコツについてお話しいただきました。

大好きなトマトを食べたい!
家でできるPDを自ら希望

2015年の2月、うっ血性心不全で入院中に腎機能の低下を指摘された内藤さん。検査の結果、急性進行性腎炎症候群(RPGN)を発症していることが分かり、同じ年の夏には透析が必要と告げられました。

透析と聞いた途端、内藤さんの頭をよぎったのは、血液透析(HD)を行っている2人の知り合いの様子でした。「週に3回も病院に通わないといけない」「透析に行ったら6時間ぐらい帰って来られない」「食事制限があって、大好きなトマトや果物が食べられない」。

ところが、主治医の先生はHDの説明に加え、内藤さんが知らなかったPDを紹介し、勧めてくださったのです。「PD なら自宅でもできる! 日課としている直売所へ野菜を運ぶ仕事もできる! 」と考えた内藤さんは、PDを選択したいと先生に申し出ました。自宅での治療についてはご家族にも不安があり、ご本人も手技や手順を覚えられるかどうかが心配だったそうですが、1人でPDを行っている70歳代半ばの人の様子を見学させてもらったことで、「自分にもできると思い、がんばって覚えようと強く決心した」と言います。

スタッフの皆さんと。前列中央が内藤さん、左がマサ子さん。前列右が大仲正太郎先生(主治医) スタッフの皆さんと。
前列中央が内藤さん、左がマサ子さん。前列右が大仲正太郎先生(主治医)

看護師が病室を訪れる前に毎朝2時間、手順を紙に書いて覚える

PD導入のための入院中、内藤さんは毎朝、看護師が病室を訪れるまでの2時間、「読むだけでは覚えられないから」と、手順を紙に書いて猛勉強しました。1週間ほど続けたと胸を張ります。交換の手技は「10日ほどで、自分でできるようになった」とそばで見ていた奥様のマサ子さん。透析液バッグとお腹のチューブの接続には、自動的に行える機械を使っています。

現在は、天気の良い日は毎日、朝食後にマサ子さんが育てた野菜を載せて『愛車』の電動カートで直売所へ。直売所では店員さんたちが待ち受けて、足が不自由な内藤さんに代わり野菜を陳列してくれるそうで、この30分が楽しい日課となっています。1日3回の透析液の交換の合間には、手押し車を使って庭を散策したり、昼寝をしたりと、ゆっくりと過ごす毎日です。

また、週に2回、訪問看護師が自宅を訪問してくれるため、「安心で心強い」と内藤さんとマサ子さんは口をそろえます。マサ子さんは、普段は透析液バッグを掛けることと、排液の処理を手伝っていますが、内藤さんの具合が悪いときには、交換操作を行うことも。「毎日3回、交換の際は一緒にいて見ていますから、いつの間にかできるようになりました。思ったほど難しくはなかったですね。最初はとても心配でしたが、今となってはPDにしてよかったと思います」と笑顔を絶やしません。

最後に内藤さんは、「PDを勧めてもらえて、本当に良い先生に恵まれたと思っています。PDは自分でやらなければならないけれど、今は時間になったらするものという感覚。もしも迷っている人がいるなら、思い切ってPDにした方がいいよと伝えたいです」と笑顔で話してくださいました。

ドクターからのメッセージ

田川市立病院
腎臓内科 医長 大仲 正太郎 先生

内藤さんはもともと腎疾患を患っていたわけではなく、突然RPGNを発症したことで透析導入となりました。ご本人が家でやりたいと強く希望されたことからPD の導入となりましたが、導入以来、状態は良く、出口部もきれいです。奥様と二人三脚でうまくやっているようですね。当院では、新規に透析導入となる患者さんの療法選択の際、外来を見学していただくのですが、内藤さんの外来を見学させてもらうことが多くなっています。そういう意味では内藤さんはPDの親善大使といってもよいかもしれませんね。今後も奥様と2人で力を合わせて、今の生活を長く続けてもらえたらいいなと考えています。

ページトップ