1. 腹膜透析(PD)情報サイト トップ
  2. 快適な腹膜透析(PD)ライフのための情報誌「スマイル」
  3. 患者の達人
  4. 農業一筋! 仕事を続けるためにPDを

患者の達人

2017年スマイル冬号
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。

農業一筋!
仕事を続けるためにPDを

患者の達人

中村 孝男さん(67歳)

PD歴:4年、農業
医療法人社団クロース・トゥー・ユー ESTクリニック

中村孝男さんは、リンゴ、メロンなどの果物の栽培をはじめ、稲作などに従事し、農業一筋で生きてきました。透析導入の際は、その仕事を続けたいと、腹膜透析(PD)を選択し、現在も農業に勤しむ日々を送っています。PD導入時の苦労話と元気の源であるリンゴづくりの様子についてお聞きしました。

20年間の糖尿病治療後、腎機能が悪化
仕事を続けられるPDを選択

中村さんが初めて腎臓病を指摘されたのが2012年。糖尿病治療のために20年間、診療所に通っていましたが、腎臓について特に注意されることはありませんでした。しかし、担当の先生が替わり検査をしたところ、ステージ4の腎臓病であることが明らかになりました。その後、現在の病院を紹介され、腎臓病の治療を始めましたが、1年後の2013年には透析の必要があると告げられました。「もう終わりだ。これで仕事も何もかもやめなければならないと思いましたね」と、当時を振り返ります。

そのときは、透析といえば血液透析(HD)しか知らなかった中村さんは、腎臓の主治医の先生から「PDであれば仕事を続けられますよ」と教えてもらいます。仕事が続けられるならと興味を持ったものの、当初はずいぶんと悩んだそうです。「PDは手術をしなきゃいけない」、「寝相が悪いので、夜の治療に影響があるかもしれない」、「もしも停電になったらどうしよう」など、心配の種は尽きませんでした。しかし、「1日おきに治療に通っていては仕事ができない」と、最終的にはPDを選択することにしたそうです。

PDの導入に当たり、機械好きの中村さんにとっては、APDの機器に抵抗はなかったそうですが、それでも手順を覚えることが「最初は大変だった」と言います。「看護師さんから『ちゃんと覚えるまでは退院できませんよ』と言われて、難しくはなかったけれど、手順を覚えて間違わずに操作できるようになるまで1カ月かかりました。でも、心配していた寝相は問題なかったよ」と笑います。

前列左から貝塚満明先生(主治医)、中村さん、天内杏奈さん。後列左から、工藤之聡さん、藤田佳寿実さん、浅利圭さん、須郷瑞季さん 前列左から貝塚満明先生(主治医)、中村さん、天内杏奈さん。後列左から、工藤之聡さん、藤田佳寿実さん、浅利圭さん、須郷瑞季さん

農作業と雪かきで、1年中忙しい日々

退院後、1週間で仕事を再開したという中村さん。現在は、朝6時に起床し、APDを終了して片付け、インスリン注射、血糖値と血圧の測定に約30分。朝食後、身支度をして7時には畑や田んぼへ向かい、昼食のため一時帰宅後、13時から17時まで再び農作業に出かける毎日です。200本あるリンゴの木だけでも2月の剪定に始まり、5月から摘花、交配、その後3回の摘果、薬剤散布や日が当たるよう葉を取るなど、11月の収穫まで多くの作業をほぼ1人で行っています。その他、ビニールハウスでの野菜づくりに稲作、また、農作業が一段落する冬の間には雪かきと、治療と仕事を両立し、忙しくも充実した毎日を送られています。

順調なPDライフを送っている中村さんですが、1年ほど前、腹膜炎になったことがあるそうです。あまりのお腹の痛さに、家族にクリニックに連れて行ってもらったところ、腹膜炎であることが判明しました。原因はわかりませんでしたが、それ以降は手洗いをより丁寧にしていると言います。「3年間、腹膜炎にならなくて褒められた途端、腹膜炎になってしまって」と照れくさそうに笑いながら、「手洗いだけは欠かさずに」と同じPD患者さんにメッセージを送ってくださいました。

中村さんが数年前から栽培している「アムさんメロン」は、甘くておいしい自慢の一品。毎年つくり続けると土が痩せてしまうため、今年と来年はお休み中とのことですが、「完熟で収穫すると一番甘いんですよ。2年後の再開まで農業を続けられるかな」と冗談まじりに話す中村さんの笑顔に、農業への思いがあふれていました。

ドクターからのメッセージ

医療法人社団クロース・トゥー・ユー ESTクリニック
貝塚 満明 先生

中村さんは今年で腹膜透析導入から4年になります。リンゴ農家さんで毎日畑での作業に出るため腹膜透析を選 択され、現在も以前と変わらず農作業に精を出されているようです。ご自身でリンゴやメロンを食べるのも大好きで、カリウム制限の緩い腹膜透析が合っているようです。これからも腹膜炎に注意して豊かなPDライフを送っていただけるとうれしいです。
当院の患者様は遠方からの通院も多く、また当地域は冬に雪が多くて吹雪くことも多いので、当院では通院回数の面で大きな利点がある腹膜透析を積極的に勧めています。

ページトップ